2010年2月23日
自律神経系の薬理学的基礎
交感および副交感神経線維は、1つの細胞またはニューロンだけから成る自発的な運動神経と対照して、「神経節前」及び「
神経節後」神経細胞の両方がある。それらは神経節で会合し、シナプスの化学伝達物質アセチルコリン(ACh)により、神経
インパルスが神経節で細胞から細胞へ伝達される。 アセチルコリンは最初のニューロン(節前ニューロン)から放出され、2
番目のニューロン(節後ニューロン)のニコチン型受容体に結合し、リガンド依存性Naチャネルを開き、脱分極を起こしてイ
ンパルスを発生、ニューロン末端で2番目の神経伝達物質を放出することによって、情報をシナプス後膜へ伝える。 副交感神
経系の2番目の伝達物質は同じくアセチルコリンであるが、交感神経系における2番目の伝達物質はノルアドレナリンが担う。
副腎髄質を支配する神経は節前線維で終わる。普通、交感神経の節後線維からノルアドレナリンが放出されるが。機能的に見
ると伝達物質を放出する代わりに副腎髄質かたアドレナリン及びノルアドレナリンが分泌される。つまり副腎髄質自体が巨大
な節後線維として働いていることとなる。 神経節前自律神経細胞の細胞体は中枢神経系に位置し、交感神経系の細胞体は
脊髄の内の胸随と腰随にあるのに対し、副交感神経系の細胞体は脳幹(頭蓋副交感神経=迷走神経などの脳神経の一部)と仙随
(仙髄副交感神経)に位置している。
自律神経系の機能を担う、主な神経伝達物質はアセチルコリンとノルアドレナリンである。 前述の通り、アセチルコリンは
交感神経及び副交感神経の節前線維終末から放出され、ここでの受容体はニコチン性アセチルコリン受容体である。 自律神
経節では他にも、ムスカリン性アセチルコリン受容体、ドーパミン受容体等が存在することが知られており、これらは神経伝
達物質というよりはむしろ神経修飾物質と呼ばれ興奮の伝達に関与していると考えられる。自律神経節のニコチン受容体をブ
ロックするアンタゴニストとしてはトリメタファン、ヘキサメソウニウムが知られており、今日では使用は減ったものの、最
も早くに導入された降圧薬である。 アセチルコリン受容体にはニコチン性のものに加えて、他にムスカリン性受容体があり
、これは副交感神経支配下の効果器に存在する。今日では、ムスカリン受容体はM1~M5受容体というサブタイプが知られ、今
後個々の臓器における、これらサブタイプの違いに基づくよりよい薬の開発等が期待されている。ムスカリン受容体の局在と
して、副交感神経終末以外に、汗腺支配下の交感神経終末がある。汗腺は原則として交感神経の一元的支配を受けているが、
一方で伝達物質はアセチルコリン、受容体はムスカリン性アセチルコリン受容体であるという点で、特徴的である。ムスカリ
ン受容体拮抗薬は、循環器、消化器薬として知られるアトロピンが有名である。 ノルアドレナリンは交感神経終末から放出
され、副腎髄質からアドレナリンとともに分泌される。アセチルコリン同様に、(ノル)アドレナリンの受容体にも、サブタ
イプが存在することが知られ、α受容体とβ受容体に大別される。交感神経が各器官に及ぼす作用のうち、血管収縮はα受容
体によって、心拍数増大はβ受容体によってそれぞれ媒介されている。このような、受容体の差異を考慮して、交感神経の作
用を選択的に再現もしくは遮断するα/β作動薬もしくは遮断薬が臨床的にも応用されている。今日では、αはさらにα1、α
2、βはβ1、β2、β3という下位のサブタイプが存在することが知られている。β1アドレナリン受容体は主に心臓に局在し
心拍数増加、心収縮力増加を介し心拍出量を増やす。これを踏まえ、β受容体拮抗薬は心機能を抑制する目的で高血圧の患者
に用いられる。逆に心不全のときには、心機能を補助する目的でβ受容体刺激薬が用いられる。β2は多くの平滑筋に存在す
るが臨床的には気管支拡張薬として重要である。 β3アドレナリン受容体は、最も遅くに報告された受容体であるが、脂肪組
織、膀胱、消化管等に限局して存在することが知られ、β3受容体を選択的に刺激する 薬が開発されることで、心臓や気管支
に作用することなく脂肪を効率的に減少させることができるのではないかと期待されている。
『ウィキペディア(Wikipedia)』引用
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